- 空売り(ショート)の仕組み
- 空売り(ショート)のメリットやデメリット
- 空売り(ショート)のコツ
仮想通貨取引の手法の一つに「空売り(ショート)」があります。
先に仮想通貨を売ってあとで買い戻す取引方法のことです。
普通は購入してから売却するのでまったくの逆パターンですが、果たしてどういったメリットがあるのでしょうか?
この記事では、そんな空売り(ショート)について詳しく解説していきます。
クリプト博士
仮想通貨の空売り(ショート)とは?
冒頭でも言ったとおり、空売り(ショート)とは先に仮想通貨を売ってあとで買い戻す取引のことです。
ここでは、空売り(ショート)の仕組みについて解説していきます。
仮想通貨の空売りの仕組み
仮想通貨の空売り(ショート)は、仮想通貨を所持していなくても証拠金を担保として売り注文を出します。
売り注文を出すタイミングとしては下落相場時です。価格が下落しきったタイミングで買い注文を出します。
証拠金を預け入れる取引でのみできる取引方法ですので、現物取引は対象外になります。
ちなみに、ショートという名称は株式やFXに由来します。株式やFXでは買い注文のことを「ロング」と言い売り注文を「ショート」と言います。
クリプト博士
仮想通貨の空売り(ショート)は、売り注文と買い注文の差額で利益を出します。
【具体例】
例えば、1BTC(ビットコイン)が60万円の時に新規売り注文を出したとして、相場が25万円/1BTCの時点で買い戻す決済注文をすると差額の35万円が利益となります。
仮想通貨の空売り(ショート)のメリット
仮想通貨の空売りのメリットを見てきましょう。
仮想通貨のメリットには以下のようなものがあります。
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下落相場でも利益を狙える
空売り(ショート)のメリットは下落相場でも利益を上げられることです。
現物取引しかしていない場合、上昇相場の時にしか利益は上げられませんが、空売りができると下落相場でも利益を上げられるのです。
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比較的短期間で利益を狙える
空売り(ショート)は短期間で利益を狙うこともできます。
仮想通貨の価格の急落というのは、短期間に一気に起こることもあります。そういう急落時に空売りすると短期間で大きな利益を上げることができるのです。
レバレッジを有効活用できる
空売り(ショート)はレバレッジを活用するとさらに大きな利益を狙うこともできます。
国内取引所では、2倍までレバレッジをかけて仮想通貨取引ができます。
2倍レバレッジをかけた場合、予想が当たれば1度の取引で2倍の利益を得られます。
ただし、利益が2倍になれば損失も2倍になりますので、レバレッジ取引を行う際はリスクも十分に考慮するべきでしょう。
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リスクを分散させやすい
空売り(ショート)すると、リスクを分散することもできます。
現物取引の場合、購入時より相場が下落してしまうと損失が生まれます。そうなった場合、損切りをするか上昇するのを待つしかありません。
しかし、仮想通貨の空売り(ショート)は相場が下落している状況でも、利益を出せる可能性があります。
つまり、空売り(ショート)をすると、現物取引で発生してしまった損失を空売りの利益で補うことができます。
逆に、相場が急激な価格上昇をした際は、現物取引で利益を生むことで空売りで発生した損失をカバーすることも可能です。
このように、空売り(ショート)と現物取引を組み合わせることで損失を相殺することができることもあり、リスク分散になるんですね。
稼働している時間ならいつでも取引できる
空売り(ショート)は稼働している時間ならいつでも取引できます。
しかも、仮想通貨市場は24時間365日稼働しているため好きな時間帯にいつでも取引できます。
FXや株式の場合、平日や取引所がオープンしている間で、しかも現物取引だけをやっていると、その中でも上昇相場に取引できる機会が絞られます。
暗号資産市場は24時間開いているため、空売り(ショート)も現物取引もしていると、いつでも儲かるチャンスがあるということになりますね。
節税効果が期待される
これは、空売り(ショート)がというよりもレバレッジ取引においてなのですが、節税効果があります。
というのも、取引所によっては、現物で保有している仮想通貨をレバレッジ取引で証拠金として使用できます。
証拠金として使用された銘柄に関しては、売却益が発生せず課税されません。
それに対して、現物取引の場合はレバレッジ取引で期待できる節税効果はありません。
例えば、イーサリアムを売却してから他の仮想通貨も購入するとイーサリアム分の売却益も課税対象となります。
空売り(ショート)ではレバレッジ取引を併用することが多いので、現物保有したまま他の仮想通貨に投資できるため節税効果としても期待できます。
仮想通貨の空売り(ショート)をするデメリット
仮想通貨の空売り(ショート)をするデメリットとしては以下のようなものがあります。
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ロスカットが発生する可能性がある
仮想通貨の空売り(ショート)ではロスカットが発生する可能性があります。
証拠金取引をする際に定めた基準以上の損失が出ないように一定の水準を超えたら自動的に決済を行うシステムです。
ロストカットの基準は証拠金額で決まりますので、こまめに証拠金はチェックし、随時余裕を持って追加するようにしましょう。
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一定の証拠金が必要になる
空売りは、証拠金取引の取引手法であるため、預け入れられた証拠金の額を元に取引可能金額が決まります。
そのため、最低限の証拠金が必要になります。
このように、空売りでは証拠金が必要になるため、取引時には証拠金の不足がないように注意しましょう。
上がり相場では損失が出てしまう
仮想通貨の空売り(ショート)の場合、上がり相場では損失が出てしまいます。
空売り(ショート)は売却した時の相場よりも価格が上昇すると、上昇した分だけ損失になります。
また、空売り(ショート)のレバレッジ取引では自分が保有している資金以上の取引が可能なため現物取引以上の損失を抱える可能性があります。
資金がマイナスになったら追証を求められる
損失を出した場合、追証を求められることがあります。
「追加証拠金」を略した投資用語の1つです。言葉のとおり、足りなくなった証拠金を追加で入れることを意味します。
証拠金は取引所に預けるもので、これを担保として仮想通貨の取引を行いますが、仮想通貨を売買して決済を行わずに含み損が出ている状態で、預けた証拠金の維持率が取引所が定めた規定の割合を下回った場合に追証が発生します。
追証が発生して入金をしなかった場合、ポジションが解除され損失確定となってしまいます。
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空売り(ショート)ができる国内取引所
次に、空売り(ショート)ができる国内取引所をご紹介します。
- DMM Bitcoin
- GMOコイン
- bitFlyer
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DMM Bitcoin
取引形態 | 販売所 レバレッジ取引 |
---|---|
取扱通貨 | 販売所:11種類 レバレッジ取引:15種類 |
入金手数料 | 無料(※振込手数料は別) |
出金手数料 | 無料 |
送金手数料 | 無料 |
販売所手数料 | 無料 ※別途でスプレッドあり ※BitMatch手数料を除く |
レバレッジ手数料 | ポジション金額の0.04%/1日 |
公式サイト | https://bitcoin.dmm.com/ |
DMM Bitcoinは入手金手数料・送金手数料が無料で、スプレッドも狭い、手数料面が非常に優秀な取引所です。
大手企業DMMグループによって運営されているので信頼面でも安心です。
GMOコイン
取引形態 | 販売所 取引所 レバレッジ取引 |
---|---|
取扱通貨 | 販売所:18種類 取引所:11種類 レバレッジ取引:5種類 |
入金手数料 | 無料(※振込手数料は別) |
出金手数料 | 無料(※大口出金(20,000,001円以上)は400円) |
送金手数料 | 無料 |
取引手数料 | Maker:-0.03%/Taker:0.05% Maker:-0.03%/Taker:0.09% ※通貨により異なる |
販売所手数料 | 無料(※別途でスプレッドあり) |
レバレッジ手数料 | ポジション金額の0.04%/1日 |
公式サイト | https://coin.z.com/jp/ |
DMM Bitcoinと同様、入金・出金・送金手数料が全て無料です。
また、「現物取引」と「レバレッジ取引」の両方ができます。
bitFlyer
取引形態 | 販売所 取引所 レバレッジ取引 |
---|---|
取扱通貨 | 販売所:15種類 取引所:6種類 |
入金手数料 | 住信SBIネット銀行:無料 上記以外のネット銀行:330円銀行振込 銀行振込:無料(※銀行振込手数料は別) |
出金手数料 | 三井住友銀行:220円~440円 三井住友以外の銀行:550円~770円 ※出金額により異なる |
送金手数料 | 0.0004 BTC(※通貨により異なる) |
取引所手数料 | JPY建て:0.01~0.15% BTC建て:0.2% |
販売所手数料 | 無料(※別途でスプレッドあり) |
レバレッジ手数料 | ポジション金額の0.04% /1日 |
公式サイト | https://bitflyer.com/ja-jp/ |
bitFlyerは国内の仮想通貨取引所の中では規模が大きいですので、安心感があります。
また、専用のスマホアプリが使いやすく、レートをこまめに確認したい人にはいいでしょう。操作も簡単なので、初心者にはおすすめです。
さらに、bitFlyerには、アカウントを作成すれば誰でも利用できる「bitFlyer Lightning」というサービスがあります。
持っている日本円やビットコイン(証拠金)を担保に、最大2倍までのレバレッジを効かせた取引ができます
仮想通貨の空売り(ショート)のやり方
ここでは、仮想通貨の空売り(ショート)を実際に行う方法をご紹介します。
仮想通貨の空売りは以下の手順で行います。
- STEP1.仮想通貨取引所のアカウントを作成
- STEP2.作成したアカウントで仮想通貨取引所に入金
- STEP3.取引内容の入力と売り注文の確定
- STEP4.買い注文を出し利益(損失)を確定
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STEP1.暗号資産取引所のアカウントを作成
空売りをするには、仮想通貨取引所でアカウントを作成する必要があります。
アカウント作成の手順は以下の通りです。
- メールアドレスと基本情報の入力
- 本人確認書類の提出
- 口座開設の審査
- 口座開設の完了
最近は、スマートフォンを利用した本人確認が広く利用され、最短即日で口座開設できます。
STEP2.アカウント作成した仮想通貨取引所に入金
アカウント作成した仮想通貨取引所に日本円を入金します。
この際、入金手数料がかかる場合もあります。
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STEP3.取引内容の入力と注文の確定
注文方法には、価格を指定して売り注文を入れる指値注文と、値段を指定せず取引の成立(約定)を優先する成り行き注文があります。
指値注文の場合、未来の相場を予想する必要がありますので、初心者の場合は現時点の価格で取引する成行注文のほうが確実でしょう。
注文方法を決定したら、注文の数量を入力することで注文内容が確定します。
STEP4.買い注文を出し利益(損失)を確定
売り注文を出した後、価格が予想通り下落した場合は、タイミングを見計らって買い戻します。
空売り(ショート)の場合、下落幅が大きければ大きいほど利益が大きくなります。
逆に、予想に反して価格が上昇してしまうと、損失を確定するかどうかの決断を迫られます。
損失を確定させずショートポジションを維持したい場合はそのまま保有し、場合によっては追加証拠金を入金してでもポジションを維持します。
損失を確定する場合は、買い注文を入れてこれ以上の損失拡大を防ぎます。
仮想通貨の空売り(ショート)のコツを紹介
空売り(ショート)をするにはいくつかコツがあります。
ここでは、2つほどご紹介します。
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ネガティブなニュースが流れたら狙い目
ネガティブなニュースが流れたら空売り(ショート)する狙い目です。
というのも、仮想通貨は一般的に流出などのネガティブなニュースが流れると価格が下落する傾向があります。
【具体例】
例えば、2017年12月末に韓国が仮想通貨規制の厳格化を示唆した際、年明けの2018年1月には急落しました。
政府の規制や、大口保有者の売却発言は仮想通貨市場にとってネガティブニュースです。
クリプト博士
個人が人より先にネガティブなニュースを入手するのは難しいですが、日々、仮想通貨の情報をキャッチアップし、ニュースが出たらすぐに取引できるように備えておきましょう。
下降相場の時も狙い目
下降相場の時も空売り(ショート)の狙い目です。ポジションを建てましょう。
ちなみに、仮想通貨のトレンドは以下の3つに分けられています。
- 上昇傾向
- 下降傾向
- 横ばい
価格の下落が続いている相場を下落相場とか下降トレンドと言います。空売り(ショート)は下落相場時で利益が出るんでしたね。
仮想通貨の空売りの基本用語
現物取引は普段の買い物と似ていますのでイメージがしやすいですが、空売り(ショート)はその逆をするので、信用取引などに慣れていない人には少しイメージしにくいようです。
空売り(ショート)を成功させるには、専門用語をきちんと理解しておくことが大切です。
ということで、最後に空売り(ショート)する際によく使われる以下の用語をまとめておきます。
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ポジション(建玉)
レバレッジ取引において未決済の状態で保有している数量や注文のことです。
例えば、レバレッジ取引で買い注文を出してその注文が成立すると、ポジションを持った状態になります。
また、レバレッジ取引では買い注文をロング、売り注文をショートと呼びます。空売りは売り注文から入るのでショートとも呼ばれるのです。
追加証拠金(追証)
担保を差し入れる信用取引において、証拠金が必要額を下回った際に発生します。
追証が発生すると、証拠金の維持率を既定の割合まで戻す必要があります。
そのため、取引を続けるには証拠金を追加しなければなりません。
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ロスカット・証拠金維持率
取引所が決めた限度までポジションの含みが大きくなった際に、強制的に決済するシステムです。
ロスカットで強制的に取引が終了してしまいますが、その一方で投資家は損失の拡大を防げます。
またロスカットのタイミングは証拠金維持率によって決まるのが一般的です。
必要証拠金に対する純資産の割合のことです。
ロスカットのタイミングは取引所ごとに定められている証拠金維持率によって異なります。
まとめ
仮想通貨の空売り(ショート)について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
現物取引だけでなく空売り(ショート)もできるようになると、取引の選択肢が増えますしチャンスも2倍に増えます。
そのため、この機会に空売り(ショート)もしっかりとマスターしておきましょう。
クリプト博士